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設計と性能の融合を体感できる完成見学会のご案内(横浜市中区)

「2つの庭と繋がる家 ~The double sided garden's Haus~」
(設計:建築家 / 河添 甚氏)

その家で暮らす ─ 私たちの日々の生活には、理屈では説明がつかないものがあります。

いくらインターネットを調べても、いくら本を読んでも掴むことができないもの。
それが「感覚【sense】」です。
その空間に身を置き、実際に見て、触れて捉えた外部の刺激が脳の中枢に達して得られる意識感覚。感覚神経に訴える直接的な感じ方。

sensor(センサー)の語源は、英語のsense(感覚)・sensory(感覚の)に由来します。
自らの体験や経験でしか語れない感覚を、設計技術と施工技術の奥深さを、ご自身のセンサーで触れて感じ取っていただける機会を設けました。

※バウハウスデザインでは、家を建てることを検討されている方へ家づくりのポイントを理論的に把握していただける「注文住宅セミナー」も随時開催しています。

今回のご案内は、横浜市中区に竣工の建築家・河添甚氏設計の「2つの庭と繋がる家」におきまして、11/5(日)より11/23(祝・木)まで19日間、連日開催いたしますSpecialな完成見学会となります。ぜひこの機に設計と性能の融合を現地でご体感ください!

※このイベントは終了しました。多数のご来場、誠にありがとうございました。

2023/11/5(日)~11/23(祝・木)「2つの庭と繋がる家 ~The double sided garden’s Haus~」完成見学会

特別解説 『完成見学会「2つの庭と繋がる家」の歩き方』

今回の完成見学会を十分にお愉しみいただけるよう、見学会の予習資料として『特別解説「2つの庭と繋がる家」の歩き方』をご用意しました。オーナー、担当建築家の河添甚氏へのアフターインタビュー、当邸建設に関わったプロジェクトメンバーの語る「2つの庭と繋がる家」の見どころポイントなどを、全10,000文字の完全解説にまとめました。BAUHAUS DESIGNの家づくりの参考にぜひ最後までご高覧ください。

「2つの庭と繋がる家」の歩き方 目次

1. オーナーの想い

オーナー:4人家族(ご夫婦、お子様2人)

当社のHPやWEBマガジンに掲載された当社の記事をご覧になって下さったお客様で、住宅の性能や建築のデザイン、外とのつながりについて強いポリシーを持ってお問い合わせを頂きました。

まず始めに「家づくりをしよう」と思い立ってから、建築会社を決めるまでの道のりをお伺いしました。

『はじめに”家を建てよう”と決めて、建築会社を探し始めたのは、1年半以上前(去年の冬)でした。当時、自宅の寝室がとても寒く、部屋の温度は大体3℃から高くても10℃に届かないぐらいでしたので、建築会社を調べる時にも、使用しているサッシや住宅の省エネ性能を重視して色々と確認をしていきました。

外観イメージ

住宅の検討を開始した当時は、住宅の省エネ等級4が最高レベル*でしたが、Youtube等で専門家の先生の動画で勉強していく中で、建てるなら(HEAT20**が提案する)住宅外皮水準のG2以上にしたいと思いました。G2クラスという基準で選びはじめた時点で、多くのハウスメーカーや工務店がフィルタリングされて、選択肢から外れていきました。そんな時にインターネットで検索してバウハウスデザインさんを見つけました。ホームページの写真を見て”お、かっこいい”って。調べたらこちらが求める住宅性能レベルもクリアできそうだったし、デザインもかっこいいなって思って問い合わせしました。』

* 住宅性能表示制度における省エネ性能
2022年(令和4年)11月7日に「日本住宅性能表示基準」及び「評価方法基準」が改正され、共同住宅等の断熱等性能等級6、等級7の創設等の公布がされました。 施行日は、2023年(令和5年)4月1日。

**HEAT20(一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)
HEAT20が提案する住宅外皮水準G1~G3が目指す性能は、住宅省エネ基準における外皮平均熱貫流率UA値を満たすだけでなく、地域区分毎に規定した「住宅シナリオ」室温(NEB)・省エネルギー(暖房不可削減率/EB)・外皮平均熱貫流率(UA値)の各指標を満たすことにあります。

建築家との打ち合わせ時の主なご要望

  • 外観をとにかく格好よくしたい
  • 家中のどこにいても快適に過ごせるよう、住宅の温熱性能にこだわりたい
  • 将来の老後までを考えて、1Fのワンフロアで生活を完結できるようにしたい
  • 室内に居ても外を感じられるような景観と、庭と家が一体となっているような連続性がほしい
  • 外からの視線をさけたいが、一方で太陽の光、空を感じられる開放的な家にしたい
  • 生活のストレスが無くなるような空間にしたい。具体的には同じ空間の中に沢山の居場所があり、家族がお互いに心地よい距離感を保つことができて、スッキリと片付く収納が欲しい
  • 建築家との打合せイラスト

家づくりを進める上で大切だなと思ったことは何でしょうか?

『色々と事前に調べたり、実際に工務店へ出向いたりしましたが、各ハウスメーカーや工務店が得意としている分野や標準としている仕様にときめいた会社にお願いするのが重要だと思います。過去に検討した住宅会社もあったのですが、ちょっと(値段が)お安いところで”こういうテイストでやりたい”と希望を伝えた時に、同じ言葉や表現でもニュアンスが伝わりずらくて、なかなか話が進まないと感じたことがありました。

バウハウスデザインさんだと、此方が指示しなくても外観の窓の位置の高さを揃えてくれたりとか、工事中にガスや電気の配管がヨコに少しズレているなぁと思っていたところが、いつの間にかタテに綺麗に並んでいたりとか。云わなくても綺麗にラインを整えてくれているとか。配管の位置とかも見た目や使い勝手を重視して変更してくれていたりとか。自分が大切にしている部分を得意とする工務店さんと家づくりすることが大切だと思いました。』

『振り返ると、モデルハウスや実棟を見学したことが、家づくりに大きく影響したと感じました。空間のイメージもつきやすいですし、住宅の性能面でも”暖かい”とか”涼しい”とか、人ぞれぞれ違うことを自分で感じることができたので、家づくりをイメージしやすくなりました。モデルハウス見学や実棟見学会に行くとイメージしやすくなると思います。』

住宅見学会イラスト

見学会でのおすすめcheckポイント

『見学会は自分たちが検討する家づくりのイメージがつきやすくなりますが、私たちが検討段階での見学で得られた大きな気付きが2つあります。ひとつは"外構"。それまで家そのものについては沢山調べていましたが、庭とか外構については、あまり意識していませんでしたし、正直そこまで大事だとは考えていませんでした。

しかし、実際に建っている家を見学すると、庭や外構といった毎日目に入る場所の重要性を感じることができました。家の中から見える庭の植栽も含めて、家の中と外との繋がりというか、連続性であったり、キッチンに立った時に開放感で抜けた視線の先に目に飛び込んで来る緑とか・・・例えばそれまでは、外からの視線が気になってカーテンを締め切って生活する派でした。しかし、カーテンが必要な場所はあるにはあるけれど、開放的なところはカーテンなしでそのままでも大丈夫っていうのは、モデルハウス見学や実棟見学で気づきました。これらは建築の設計の段階ですべて計算されていることだと聞いて、とても納得できました。』


2. 土地の特徴

横浜市内では比較的広い敷地ではあるものの、都市部の住宅地内であり、隣地周辺は住宅が密集している。横浜市域の地形は、丘陵地、台地・段丘、低地、埋立地に分けられるが、市の面積の多くを丘陵地が占めている。この土地も例外ではなく、前面道路が坂道になっており、敷地内においても高低差があり、前後左右の隣家とも高低差がある。

全体的な立地の要件からすると、「プライバシーの確保と開放感」というオーナーの実現したい暮らしの条件とは一見真逆のような印象を受ける条件下において、オーナーの願いに応えるにはどうするか?

手掛けた建築家の視点と施工に関わったプロジェクトメンバーの視点を紹介します。

土地の選び方イラスト

3. 建築家の視点

今回のプランを手掛けた建築家・河添甚氏に設計時のポイントを伺いました。

この土地の読み解き方

丘陵地の高台で四方からは見おろされる敷地

『近隣周辺との立地関係においても、敷地内においても高低差がある土地で、南側の隣地が1段高く上がっていました。南側隣地が高いということは、そもそも光が入って来にくいということですから、この状態で単純に南に開く設計をしてもオーナーの願いは叶わない、ということがこの土地を読み解く上でのポイントでした。

横浜市内は、建築に関する規制が他府県に比べて厳しく、高度地区や斜線制限、壁面後退などの規制も加味しなくてはなりませんが、この土地も例外ではありません。敷地の西側は、約3m程度の高さ(1階の天井高ぐらい)の間知擁壁がありますが、横浜市には「崖条例」という安息角に関する規制があり、隣地の間知擁壁から一定距離を引いて建てなければなりませんでした。』

土地のスペックを最大限に引き出す、オーナーの想いに対する建築家としての回答

「丘陵地の丘の上、四方から見下ろされる場所」
「プライバシー重視・視線は気になるけど開きたい」
厳しい法規制と自然の地形の条件下に置かれた土地と、オーナーの暮らしへの想い。与えられた条件下で結果を出すことが求められるプロとして、この2つの問いに対峙して建築家が出した答えとは?今回の提案には2つの庭が存在しますが、それぞれの庭の設計ポイントについて話していただきました。

セオリーでは配置しない方角にある「光庭」

『通常では、北西方向に庭を配置することは、あまりしません。しかし、この土地の場合は南が上がっており、むしろ敷地内の北西側に光が取れる場所があります。そこで、ここに光の取り込みとプライバシーという一見矛盾した希望を実現する場所を配置しました。囲われた間知擁壁への目隠し、光庭に面した場所にテラスを置き、家の裏側に緑を置くことで景観を豊かにする効果と共に、アウトドアっぽい雰囲気を出すことで都会でもプライバシーを確保しつつ非日常的な空間が実現できるということを意識しました。この光庭のテラスは後述のリビングの拡がりにもひと役買っています。』

光庭イメージ

街の景観に良い影響を与える「表庭」

『オーナーの要望として、駐車スペース2台分というのが条件としてありました。
『この家には2か所の庭があるイメージで、道路側に位置するこの庭の方が広く、駐車スペース兼庭というイメージになるようにしました。道路側にある庭は、広く使えてBBQ等ができるイメージで作りました。また、植栽を置くことでリビングからの眺めにも奥行きを出すことができます。

裏庭である「光庭」が家族だけのプライベート空間と位置付けるならば、表の庭は街と繋がる空間。景観上も設えとして街に影響を与えると考えています。』

表庭イメージ

見学会でのおすすめcheckポイント

独自の外観デザインとしつつも、この庭があることで敷地が街とシームレスに繋がり、街に溶け込む役割を果たしています。道路正面から見る事ができる「表庭」と、敷地内に入らないと見る事ができない「裏庭」。この2つを比較してご覧いただけるのも「見学会」ならではの体験です。

パッシブハウスの要素

『オーナーの要望として、外観デザインの他にも性能や機能性、パッシブハウスの要素への強い希望がありました。南側隣地の敷地が一段高いので、光を取るために単純に南側を空けてしまうとプライバシーが守れません。そこで上からの光の取り込みを考えて、ダイニングの上部に吹き抜けを設けることを考えました。また、2階部分は隣地から引いた位置におきたいと考え、建物を北側へセットバックしたので外観の形があの形になりました。この2つの要素でLDKの光を確保しています。』

パッシブハウスイメージ

パッシブハウス・・・パッシブハウスとは、ドイツパッシブハウス研究所が規定する性能認定基準を満たす省エネルギー住宅のこと。住む人が健康かつ快適に暮らすことができる温度は、22℃~24℃と云われ、日本の住宅は「冷暖房機器頼み」と指摘されている。パッシブハウスは、住宅の省エネ性能を使用する建材や施工技術の他、自然の光や風を活用するといった、建築の力で快適な環境を確保しようとする住宅である。

生活機能性

今も、将来も平家のような生活を送りたい
『オーナーの要望として「1階のワンフロアだけで、生活を完結させたい」という希望が絶対条件としてありました。現在のお住まいでも1フロアで完結していることが多いため、新築後においても平屋のような生活をしたい、という希望がありました。また、オーナーのお仕事の関係で、将来老後を迎えた際のお互いの介護の問題も視野にありました。

この点においては、1階リビングの一部分を将来的に独立した個室として利用できるように住宅に可変性を持たせることで、将来寝室としての利用も可能にしています。また、水回り等をすべて1階に配置することで、入居後すぐに、そして将来的にもワンフロアで寝起きや食事、庭を楽しむ等の暮らしが完結できるようにしています。』

拡がりのある玄関と散らからない収納

『オーナーのご家族は多趣味で、アウトドアやウィンタースポーツ等の道具の出し入れが便利な収納が欲しいとの要望も受けました。また、玄関には拡がりのある内外を求め、一方で道路側からは室内を覗かれにくいようにしてほしいとの希望もいただきました。』

玄関収納イメージ

外からの視線

『外からの視線は閉じたい、しかし玄関の広さは欲しい、この2つの問いに対して、次のような解答を導き出して提案しました。まず、外からの視線については、玄関ポーチを奥へ配して、正面からの視線はポーチのアクセント(木製ボード)で受け止めるように意図しました。雨が降っても車のハッチバックから、濡れずに荷物を出し入れできるようにしているのも、この住宅の特徴です。 奥まったところへ玄関ドアを置くことで外からの視線では室内を覗かれにくくしています。』

外観イメージ

帰って来た時の拡がりと収納の両立

『帰宅して外から玄関に入った時に広がりを感じられる様に、玄関はリビングと一体の空間にすることで拡がりを持たせました。そして、玄関に入ってすぐに回遊性を持たせたシューズクローゼットを設ける事で、趣味の道具はこの部分に収納することができて、外で使うものを室内に持ち込まなくて済むようにしました。道具を置いて、そのまま手を洗う洗面台やトイレへ行くことも可能です。また出がけにトイレを済ませていくことも考慮しています。』

玄関ドアを開けた時の開放感

『ドアを開けると駐車場スペースと庭を兼ねた植栽のある表庭の広がりに出ます。出来る限り建物を北側へ引いているので、最も広く開放感を感じられる場所が拡がるようにしています。』

見学会でのおすすめcheckポイント

実際に玄関に立った時に外から感じる視線の程度や室内から外へ出る時の視線の拡がりを体感することができます。

外を感じられる室内空間

『室内のどこにいても快適な室温であり、プライバシーが守られ、屋外を感じられる家にしたい、というオーナーの希望については、まずLDKの位置を出来るだけ南側から引いて光を取り入れるようにしました。実際にキッチンに立つとテラスへの拡がりを感じ、ダイニングのスペースに座っても吹き抜けで頭上に開放感があり、水平方向(ヨコ)の拡がりと垂直方向(タテ)の開放感を感じていただけるように設計しています。また、ご主人がこの敷地の最大のビューポイントと仰っていた敷地の北東方向にカウンターの窓を設けています。

外を感じられる室内空間イメージ

見学会でのおすすめcheckポイント

実際に、キッチンに立つと光庭に面したテラスが続き間のように置かれており、テラスにつながる掃き出し窓の効果で足元から開放感を得られるようになっています。LDKの大きな窓からは表庭を臨むことが出来て、室内以上の広さを感じることができます。

建築家の河添氏は、今回のオーナーの要望を実現しつつ、敷地の特性や方角、太陽の角度などを考慮してパッシブ的な要素を踏まえつつ、外皮計算では断熱性能を確保できるように設計しています。

平面図

建築家/河添 甚氏(河添建築事務所)

河添甚 写真

「住宅は設計だけでなく、施主・設計・施工の三者で共に作り上げるものです。より良い三者のコミュニケーションを作り上げることを心掛けます。」

1977年

香川県生まれ

2002年

大阪工業大学工学部建築学科卒業

2003年

株式会社プランティック総合計画事務所

2010年

一級建築士事務所 河添建築事務所設立

2013年

東京事務所開設


4. プロジェクトメンバーの視点

オーナーの要望を実現できるようにプランニングを行った建築家の専門家としての視点でも見どころが多い今回の住宅ですが、住宅の建築には、厳しい法規制の他、耐震性や耐久性といった住宅として必要不可欠な要素も求められます。オーナーや建築家が描いた快適性を実現するためには、工務店にも安全性や耐久性も考慮した高度な施工技術が要求されます。実際に高性能住宅の構造計算や内外装、照明計画の他、施工管理を担った現場スタッフにも話を聞きました。

将来的な安全性や耐久性、10年後も20年後も美しさを維持するために(バウハウスデザイン・設計担当)

耐震性の確保

『今回のプランは2つの四角い箱がくっついているような形をしています。2つの四角がくっついている構造やコの字の構造の場合、家全体の計算をするためにどこまでを一体とみなすか?等の検討が必要になります。2つの四角の建物をそれぞれ計算する場合は、非常に厳しく難易度も高くなりますが、今回は構造を一体としてみています。耐震性については、耐力壁やバランス(偏心率)、建物開口部と外壁がこのプランで行けるか?等に注意を払いました。』

室内の見た目と耐久性のバランス

『バウハウスデザインの設計部では、意匠を実現するための納まりや住宅性能を担保する方法を検討しています。その結果、安全性を優先するために建築家の先生のプランを変更することもあります。例えば、今回は建築家の河添先生のプランにある吹き抜け部分の火打ちの位置を変更しています。意匠を優先する上において、火打ちは無い方が見た目は良くなりますので、まずは河添先生の意匠の効果を最大にすべく火打ちレス金物の採用も検討しました。

しかし、今回の構造上火打ちレス金物の設置が難しいことがわかりました。一般的に火打ちを抜いてしまうと建物に歪みが出やすくなります。階段室なども同様ですし、経年で建物の表面、特にクロス等にもよじれが出るなどの弊害が懸念されます。リビング等の大空間の壁にはスプリット=割れが発生する懸念がありますし、実際に発生するのは10年後、20年後かもしれませんが見過ごせません。火打ちレス金物が採用できないと分かった時点で、もう一歩深く追求しました。火打ちの場所を当初プランから逆に置くことで、梁を使わずに構造耐力を確保できます。

施工会社の設計担当からすると、やはりお客様が暮らすことになる建物の安全性と耐久性を一番に考えます。実務上において、意匠(デザイン)と安全性は、相反するケースがよく起こりますが、安全性や耐久性を最も重視し、担保しつつも、建築家の先生の意匠をいかにして形にするか?常に社内のチームで検討を重ねています。今後は、どのスパンを超えると火打ちが必要になるのか?なども研鑽を重ねていきたいと考えています。』

耐久性イメージ

換気設備について

『断熱性能や気密の高い住宅では負圧が掛かりやすく、換気計画が重要になってきます。その換気計画を実現できるかどうかは、建物のどこにダクト経路を設けるか?が大きく影響します。今回のように2つの四角形が接続した建物の形の場合、大きな梁で分断され、小屋裏にダクト経路を通すスペースが取れないことになります。床下や壁の中なので、見学会でも見ることはできませんが、通常では建物の1階の小屋裏から2階の小屋へ通すところですが、今回のような形の場合は通常の経路は確保できません。そこで下屋1階の床下を通して母屋の2階の小屋裏へダクト経路を立ち上げることで(換気を)実現しています。設計図上でしか確認できない配管スペースは、収納内にできる使いにくい箇所や室内に出来る耐力壁に隣接させるなど、使い勝手や意匠に影響しにくいかたちで配置するよう心掛けています。』

リズミカルな窓

設計部がオススメする今回のみどころ

『色々な建築家の先生のプランを見てきましたが、今回の住宅においては2階の三尺(W910mm)の柱間に1個ずつW600mmの窓がリズミカルに配置されています。通常は一間(W1820mm)の範囲に1つずつ窓を入れて集約しますが、ここが河添先生のプランの特徴の一つだと感じます。』

施工管理部の視点から見た今回の工事

土地について

『毎回、現場監督は土地が決まった段階ですぐに現場へ足を運びます。現地を確認して、宅盤と前面道路の高低差をどのように処理するか、工事車両の経路なども確認します。今回は、近くに高圧線があったため、建物の上棟時に使用するレッカー車を停める場所に気を配りました。前面道路の幅員によっては、資材を搬入する車両(トラック)のサイズも変更しなければなりません。オーナーがお住まいになった後も近隣と良好な関係を築くことができるよう、現場の隣地周辺の方々に極力迷惑を掛けずに工事を行えるように配慮するのも我々の大事な仕事の1つです。』

土地についてイラスト

大事な仕事は見えないところへ

『今回のような構造の場合、四角の2つの建物が結合しているような構造の場合は、入隅と出隅が増えるので施工の手数も複雑になります。また、1階と2階の階層(高さ)が異なる建物が結合するような構造ですので、下屋の取り付けもポイントです。1階の屋根の接合部分は雨漏りが起こりやすい形状なので、雨仕舞にも注意が必要です。』

『また、オーナーからの「とにかく外観を格好良くしたい」というご要望に応えるために気を付けた点は1階の屋根と外壁の取付部分の端の処理です。細かいところですが、この部分の処理が雑になると汚く見えてしまいますし、今回は外壁にガルバリウム鋼板を使用していますので、なおのこと注意が必要な部分です。』

『2階の庇は、あとから追加のご要望をいただきましたが、ここにも庇を取り付けるために耐久性を考慮して下地を付けています。見た目だけでなく、耐久性を考慮すると見えないところへ打つ楔のような処理が必要です。1階の駐車場側に面した掃き出し窓にシェードが入るので、こちらも下地処理が必要でした。』

建物外観イメージ

施工管理部がオススメする今回のみどころ

『上記の納まりの部分は見学会では、なかなか確認するのが難しいと思います。現場監督として、参考にしていただける見どころとしては、鉄骨階段です。今回使用しているのは、一直線型の鉄骨階段で、我々は「鉄砲階段」と呼んでいます。この鉄砲階段を採用する場合、搬入経路を考えなければなりませんし、搬入作業もかなりの重量になりますので、それなりに人手も必要です。プランによっては採用できないかも知れませんが、それでもこの鉄砲階段は見ごたえがありますし、視線を遮らず、空間を演出してくれていると思います。』

今回の工事で印象に残ったこと

『基礎工事の時に熱波が来ている季節で、他の現場でクラックが入る事象があったため、クラックが生じていないか、小まめに現地へ確認しに行きました。また、工事とは直接関係ないのですが、オーナーご自身が家づくりを楽しんでくださっているお客様でしたので、私達も現場に入る職人さんも一緒に楽しめてとても現場の雰囲気が良かったことが印象に残っています。私と大工さんとで近くのラーメン屋さんへ昼食を取りに行った時、偶然、お客様ご家族がいらしていて「お会いできて嬉しいです」と声を掛けていただきました。我々施工管理担当者は、営業担当やIC担当の様に直接、オーナーとお会いする機会があまりありません。お客様から直接お声を掛けていただいて、仕事の張り合いが出たことが印象に残っています。とても良い雰囲気を作って頂いたお客様に、今回現場に入っていた大工、職人一同、とても感謝しています。』

インテリアコーディネーターの視点

内装について

『私は、今回内装と外構のプランニングを担当しました。 内装は、河添先生の意匠を重視してキッチンからの開放感や明るさを引き立てることを念頭に材料の選定と提案を行いました。特徴的なのはキッチンの足元です。皆さん、キッチンの足元についてはタイル材などを希望されるケースが多いのですが、今回は床材の天然フローリングをそのままキッチンの床にも用いています。これは河添先生の設計意図でもある水平方向の拡がりを重視したためで、LDKの床材が統一されることでシームレスな連続性を視覚的にも感覚的にも確保しようとしたものです。ここをタイルにしてしまうと、せっかくのテラスからリビングまでの連続的な一体感が失われて拡がりに歯止めをかけてしまいます。』

キッチンイメージ

庭に植える樹種とレイアウトについて

『室内にいても屋外を感じられるようにしたい、というオーナーのご要望をいただいていましたので室内からどこの窓からも緑を感じられる豊かな空間にすることを念頭にプランニングしました。今回はシンボルツリーとなる植栽を2か所に設けています。2か所にシンボルツリーを設けた理由としては、今回の建物には立地の独自性と河添先生の意匠からファサードが2つ存在すると感じたためです。

1つめは、駅からの坂道を登って来た時に見えるファサードを意識して、正面右の建物に掛かるところへ常緑樹であるヤマボウシを配置しました。家の中からは見えませんが、帰宅するオーナーや駅からこの道を通る人々の目に映るファサードとのバランスを意識しました。2つめは、LDKからみえる駐車スペース兼、表庭に植えたアオダモです。LDKから見える樹なので、季節感を感じられる様に落葉広葉樹を選定しました。外側に植えているメインのヤマボウシ、アオダモ、敷地奥の紅葉へと高さと樹種を変える事で距離と高さの立体的なグラデーションを生み出せるようにしています。裏庭のテラスからは隣の擁壁に視線が奪われ過ぎないように常緑樹を1つと落葉樹を2つ。内1つは、実のなる樹にして花と実の色の変化を楽しんでいただけるようにしています。』

植栽イメージ

植栽を照らす照明計画

『夜も楽しめるように、植栽に対する照明計画も考えるポイントとなりました。近隣の迷惑にならないようにしつつ、植栽にどのような光をどの角度から充てるのか。玄関の横に植えたヤマボウシは、ファサードと重なり合う最初のシンボルツリーになるため、下からの照明を計画しました。下からといっても真下からの光ではなく、斜め下から照らすようにしています。駐車スペースのある表庭のアオダモには、上からと下からの2か所の照明を、奥の紅葉は手前から光を当てるようにしました。裏庭のデッキは上から光出力のスポットライトと足元には庭園灯を使用していますが、光の高さや強さをそれぞれ変えています。』

庭の照明計画イメージ

インテリアコーディネーターがオススメする今回のみどころ

日中も見て頂きたいのですが、ぜひ日没後に照らし出された植栽の雰囲気も見て頂きたいです。植栽とのコラボレーションで生み出すファサードや、室内から眺めた時に光に照らし出される表庭と裏庭の表情もご覧ください。

今回の完成見学会の内覧ご予約はこちらから →

5. 住宅の仕様と性能について

Property Specifications

住宅の仕様と性能についてイラスト

6. WEB上では公開できないこと・現地でお伝えできること

この見学会では現地でしか捉えられない感覚を掴んでいただくと共に、オーナーのプライバシーの観点からWEB上では公開できない内容についての質問やご相談についても承っております。

現地でしか体感できないこと

  • 奥行きや広がりに対する感覚
  • 光の取り込みを意図した設計空間
  • 生活動線や使い勝手の体感
  • 断熱性能と室内の温度(温熱環境と体感温度・湿度)
  • 住宅気密性の高さ(外部遮音性能)
  • 換気性能(建物内の臭いや室温への影響)
  • 外からの視線の感じ方、室内からの視線の拡がり
  • パッシブハウスの要素(建築の力で得る省エネ性能)

建築家との打ち合わせ時の主なご要望

  • 費用の目安について(設計費用、建築費用、諸経費など)
  • 予算の組み立て方
  • 土地選びのポイント
  • 検討~引越しまでの検討手順と必要な期間
建築家との打合せイラスト

今回の完成見学会の内覧お申し込み

設計と性能の融合を体感できる完成見学会
「2つの庭と繋がる家 ~The double sided garden's Haus~
(設計:建築家 / 河添 甚氏 会場:横浜市中区)

※このイベントは終了しました。多数のご来場、誠にありがとうございました。